PRP療法とは
PRPはPlatelet(プレートレット)-rich(リッチ) Plasma(プラスマ)を略した名称で、日本語では多血小板血漿といいます。
PRPはPlatelet(プレートレット)-rich(リッチ) Plasma(プラスマ)を略した名称で、日本語では多血小板血漿といいます。
PRPは、血液中の血小板を濃縮して取り出すことにより、血小板に含まれる活性の高い成長因子を多く含みます。血小板は、血管が傷ついたときに、傷ついた場所に集まって血を固める働きがあり、その際、血小板から多量の成長因子が放出され、傷ついた組織の修復を促します。この効果を利用する治療方法がPRP治療です。
一般的に1週間から6ヵ月で組織修復が起こり、治療後2週間から3ヵ月後に効果の出現が期待できます。
※損傷した筋・腱・靭帯への注射(第3種再生医療)、関節内注射(第2種再生医療)にPRPが用いられます。
PRPに含まれる抗炎症性サイトカインと成長因子
【抗炎症性サイトカイン】(炎症を抑える良いタンパク質)
IL-1ra | 軟骨細胞表面のIL-1受容体に結合することで、IL-1のシグナル伝達を遮断します |
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sIL-1Rll | 血液・関節液中のIL-1と結合することで、細胞表面のIL-1受容体と結合を阻害します |
sTNF-Rl、sTNF-Rll | 血液・関節液中のTNF-αと結合することで、細胞表面のTNF-α受容体と結合を阻害します |
【成長因子】
血管内皮成長因子(VEGF) | 血管形成を促進します |
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繊維芽細胞成長因子(FGF) | 軟骨細胞増殖を促進し、軟骨細胞の誘導を調節します |
形質転換成長因子 (TGF-β1、TGF-β2) | 細胞外マトリックス形成を促進し、軟骨細胞の誘導を調節します |
血小板由来成長因子 (PDGF-AB、PDGF-BB) | 細胞の複製を刺激し、血管形成・上皮形成・肉芽組織形成を促進します |
関節軟骨に悪影響を与える因子(PRPに含まれる量はごく微量です)
【関節内軟骨破壊に傾ける因子】
【炎症性サイトカイン】(炎症を引き起こす悪いタンパク質)
IL-1 | 軟骨細胞表面のIL-1受容体に結合し、軟骨分解酵素(MMP-13)を産生させます |
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TNF-α | 軟骨細胞表面のTNF-α受容体に結合し、軟骨分解酵素(MMP-13)を産生させます |
【軟骨分解酵素】
MMP-13 | IL-1やTNF-αの刺激によって軟骨から産生され、軟骨分解を引き起こします |
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APS療法とは
変形性関節症の関節内では、軟骨の破壊成分を作り出す炎症性サイトカイン(IL-1,TNFα)という悪いタンパク質の働きが活発になっていますが、私達の体の中にはこの働きを抑える良いタンパク質、抗炎症性サイトカイン(IL-1ra, sIL-1R,STNF-Rl, STF-Rll)も存在しています。
APSとは自己タンパク質溶液、 Autologous(オートロガス) Protein(プロテイン) Solution(ソリューション)の略称で、患者様ご自身の血液から炎症を抑える良いタンパク質と軟骨の健康を守る成長因子を高濃度抽出したものです。APSは血液からPRPを分離した後、更に専用の医療機器で特別な加工を加えることで、関節症の治療に有効といわれる成分を高濃度に抽出するため、次世代型PRPともいわれます。
変形性関節症の痛みは、関節内の組織が炎症を起こしていることが原因と考えられています。炎症を引き起こす悪いタンパク質の働きが活発になると、悪いタンパク質は軟骨の破壊成分の産生を促進させます。
PRPには成長因子が含まれていますので、傷ついた軟骨を保護する効果が期待されています。また、APSには、こうした悪いタンパク質の働きを阻害する良いタンパク質が含まれているため、軟骨の破壊と痛みの原因となる炎症を抑制すると考えらえています。
APS療法を用いた臨床試験の結果からは、手術が適応でない、今までの保存療法が奏功しない中等度の膝関節症患者様に対し、APSを1回投与後12ヶ月目まで、治療前の疼痛から約70%もの疼痛改善効果が持続したことが報告されています。
治療の長所・メリット
治療の短所・デメリット
治療の方法
予約制で行いますので、事前にクリニックにお問合せ下さい。
治療前に、PRP・APSが治療に適しているか、問診、画像検査等を行います。(健康保険診療)常時内服されている薬の中には、休薬が必要な場合がございますのでお薬手帳を持参され、医師と相談して下さい。
治療に適している方については、同意書にサインを頂き、治療費(自由診療)支払い完了確認後、治療を行います。治療は日帰りで終わります。
治療後の注意点
他の治療法との比較
変形性関節症の痛みに対する代表的な治療法としてヒアルロン酸注射があります。ヒアルロン酸は関節腔内に注入されるとクッションのような働きをし、痛みを和らげる効果があります。ヒアルロン酸注射は、ヒアルロン酸が関節腔内から消えていくため、標準的な治療として1週間毎に連続5回注入する必要があります。ヒアルロン酸の効果は6か月程度持続します。
PRP治療は、おおむね1回の治療で2ヶ月後から治療効果が感じられるようになり、6~12ヶ月効果が持続します。なお、いずれの治療も効果のあらわれ方や持続期間には個人差があります。
ヒアルロン酸注入とPRP治療はいずれも関節腔内注入で、治療後に起こるリスク(注入部位の痛み、腫れなど)はほとんど変わりません。
ヒアルロン酸は医薬品として承認されており、安全性の高いものです。しかし、アレルギー反応などの可能性は完全には否定できません。
PRP治療は、患者様ご自身の血液から製造するため、アレルギー反応などの可能性は極めて低いと考えられます。
表:他の治療法との比較表
APS | PRP(GPSⅢ) | ヒアルロン酸注入 | |
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概要 | 関節内投与により ➀損傷した患部の疼痛を和らげる効果 ②軟骨保護効果 ③関節内の炎症を抑制する効果 が期待される |
関節内投与により ① 損傷した患部の疼痛を和らげる効果 ② 軟骨の保護効果 が期待される |
関節内投与により 物理的クッションの働きから、 痛みを和らげる効果がある |
疼痛抑制 効果持続期間 |
単回投与で 最大24ヶ月 | 単回投与で 6ヶ月程 | 連続5回/1週間投与で 6ヶ月程 |
治療後のリスク | 注入部位の痛み、腫れなどのリスクはほとんど変わらない | ||
アレルギーの 可能性 |
自己血由来のため比較的低いと言われている | 自己血由来のため比較的低いと言われている | 品質管理されており安全性は高いが、 アレルギー反応などの可能性は完全には否定できない |
適応疾患について
変形性関節症(膝・足・肩関節など)
関節内注射にかかる費用について(第2種再生医療等技術)
この治療は公的保険の対象ではありませんので、自由診療となります。当施設にて施術料をお支払いいただきます。
PRP(GPSⅢ)を用いた筋・腱・靭帯損傷の治療
他の治療法との比較
今回行うPRP治療以外にも、現在次のような治療が行われています。
表:他の治療法との比較表
PRP | ステロイド | |
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概要 | 滞った組織修復をリセットし組織を再修復させる働きを期待 | 関節内投与により 組織の異常な炎症を抑えて痛みを和らげる |
疼痛抑制 効果持続期間 |
投与後に疼痛はあるものの 組織治癒も期待できる | 疼痛抑制効果は 1回投与で約3ヶ月 |
治療後のリスク | 投与時の注入部位の痛み、腫れなどのリスクはほとんど変わらないが PRP投与後の一過性の腫れや炎症は報告されている | |
アレルギーの 可能性 |
自己血由来のため比較的低いと言われている | 品質管理されており安全性の高いが、アレルギー反応などの可能性は完全には否定できない 炎症反応を強く抑制するため、組織修復の遅延、組織がもろくなることがある |
適応疾患について
靭帯損傷(肘・膝・足関節など)膝蓋靭帯炎(ジャンパー膝)アキレス腱損傷、腱炎、足底筋膜炎、上腕骨外側上顆炎(テニス肘)、肉離れ、肩腱板損傷、スポーツ外傷など。
治療にかかる費用について(第3種再生医療等技術)
この治療は公的保険の対象ではありませんので、自由診療となります。当施設にて施術料をお支いいただきます。
PRP・APS療法によくある質問Q&A
- Q PRP・APS療法で変形性膝関節症は治りますか?
- A PRP・APS療法は、関節の炎症や痛みを改善する事を目的とした治療です。炎症を抑えることで、関節軟骨破壊や、関節内の環境悪化を防ぐ事が期待される治療法です。
- Q 膝を切開することになりますか?
- A 膝の切開は、必要ありません。本治療は、ご自身の血液から抽出したPRP・APSを関節に注射するだけですので、切開する必要はなく、入院不要で来院当日に治療が可能です。患者さんの負担や安全性は、ヒアルロン酸注射等を打つ時とほとんど変わりません。
- Q 高齢ですが、治療を受けることはできますか?
- A 受けることができます。体に負担の少ない治療ですので、高齢でも治療をうけることができます。だたし、膝の変形がかなり進んでいる重度な方への治療効果は、期待できないケースもあり、手術が適している場合もありますので、治療前の画像検査、症状にもよりますので、医師とよく相談することが必要です。
- Q なぜ自費診療なのですか?
- A PRP・APS治療は、保険適用前の新しい治療だからです。安全性は確立された治療法ですが、有効性はまだ検討段階のため、健康保険が使用できず自由診療となります。しかしながら、今現在、つらい痛みを抱えて、何とかしたいと考えている患者さんに治療選択肢を提供するため、当院ではこの治療を提供しています。
- Q 高額医療費や医療控除の対象になりますか?
- A 自由診療のため高額療養費の対象ではありません。医療控除は管轄税務署の判断となりますが、治療を目的に行われているため、医療費控除の対象となる可能性があります。当院でも医療費控除に必要な領収書を発行しています。
- 腰や背中が痛むので、骨密度を調べたい
- 閉経したので、骨密度の変化を把握したい
- 健康診断で特定の部位に骨密度の異常はなかったけど、全身はどうか調べたい
- 以前と比べ身長が数センチ低下してきたり、円背になってきている
Point 体の痛みと骨密度は関連していることがあります
骨密度が低いと、体に痛みが起きやすくなってしまいます。急に重い物を持ったときに腰が痛んだり、転んでしまったときに体を痛めたりした経験があれば、もしかしたら骨密度が低下しているかもしれません。一度、医療機関で検査を受けた方が良いでしょう。
4ヵ月に1度の間隔であれば保険が適用されます
検査は10分もかからないため、患者さんに負担があるものではありません。また、費用的にも4ヵ月に1度の間隔であれば保険が適用されるため、年に3回は保険内で検査を受けることができます。年に2、3回の受診をお勧めしています。